観霧について-外来種植物のインパクトと対策 雪霸国家公園観霧地区は、美しい自然環境に魅了された海外観光客が数多く訪れる場所です。このエリアは生物多様性が高く、植物分類の組成が複雑です。変化の多い豊富な林相や、現地固有の植物種であるツリフネソウ属の棣慕華鳳仙花、小さくて繊細な花をつけるアリサンリンドウ、ナデシコ属の艶やかな花をつける長萼瞿麦、鮮明な花弁状となるガマズミ属のタイワンヤブデマリやオオカメノキなど、観賞価値のある繊細かつ優美な原生植物も多く存在しています。 観霧地区外来種侵入研究新データ 2020年に雪霸国家公園管理処(以下、「雪霸処」)が国立嘉義大学に依頼した観霧地区外來種植物の調査と管理研究計画による調査の結果、123科715種の維管束植物が記録されました。その中で、外来植物は25科78種発見されました。一部は観賞用の景観植物として栽植されているものです。現在、すでに大規模な拡散が見られるイネ科のイヌムギ、シマスズメノヒエ等は、主に道路の両脇に生息しています。また、イネ科のドジョウツナギやノガリヤス属の一種(Deyeuxia sp.)は、今回初めて台湾で発見されました。おそらく、法面工事の際、土壌や水土保持用の草種の中に気付かずに混ざっていたのが運ばれたと推測されますが、雪霸処では、拡散前に除去作業を行いました。 外来植物の観霧地区生態へのインパクトと対策 外来植物による原生植物棲息地への侵入によって引き起こされる生態系へのインパクトは軽視できません。外来植物は、速やかに除去する必要があります。夏季または秋季初期であれば、帰化植物の果実が未成熟であることから、除去活動を行うに最適です。雪覇では、2020年9月に園区観霧管理ステーション周辺地区で2回、外来植物の除去活動を行いました。林務局新竹林区管理処、雪覇ボランティアと一般の方々等40数名が共同で外来植物を除去しました。主な除去種は、セイヨウタンポポ、セイヨウノコギリソウ、コメツブツメクサ、イヌムギ、タチスズメノヒエ、シマスズメノヒエ等の外来植物で、合計で約800kgにも及ぶ除去を行い、成果を上げました。雪覇処では、今後も不定期にボランティアや一般の方々を募集して共に外来侵入種の除去作業を行います。観霧地区の外来植物の除去に協力することを通じ、環境に新しいきっかけをもたらす機会が生まれることが期待されます。 小さな注意こそが大切です。入園の際には、外来植物の種子を持ち込まないでください。 外来種の種子は非常に拡散しやすく、車両のタイヤの溝に挟まっていたり、人体に付着して持ち込まれたりなどが考えられます。工事では、工事用の土壌を平地から標高の高い場所に運んで使用しますが、外来種子を含んだまま園内に入ることがあり、いずれも、外来植物が観霧地区に侵入する原因となります。観霧遊楽区を訪れる際には、衣類や持ち物に外来種の種子がついていないか注意深く点検し、見つけた場合は速やかにゴミ箱に捨て、原生植物の保護のためにご留意ください。